不倫は突然訪れる
不倫なんてありえない、最低だと思っていました。
でもそんな私が不倫に手を染めてしまったのは社会人2年目の24歳の時でした。
ありきたりな台詞ですが「好きな人がたまたま既婚者だった」のです。
相手は他部署の男性で、私より4歳年上でした。
出会いは食堂で私が社員証を落としたことから始まりました。
落としたことに全く気がつかなかった私は、昼休みを終えてそのまま仕事に戻りました。
すると私の社員証を拾った彼が、私の部署まで届けに来てくれたのです。
眼鏡をかけたいかにも真面目そうな彼にお礼を言うと、彼は無愛想に会釈をして去っていきました。
その去っていく後ろ姿を見て私は思わずクスッと笑ってしまいました。
彼の後頭部の髪がピヨンとはねていて、なぜか胸がキュンとなりました。
仲の良い同僚に彼のことを話すと、彼がどこの部署の方か調べてくれました。
すると、彼は研究員として働いていることがわかりました。
男性の話をすることがない私に、同僚は協力するから!と意気込んでいて、私は「そんなのじゃないから!」と笑い飛ばしました。
でも心の中はなぜか彼の顔とはねた髪が浮かんでいました。
連絡先の交換 近づく距離とその喜び

週に何日か彼を食堂で見かけることがわかり、同僚が積極的に彼に話しかけに行きました。
私はその後ろでただモゾモゾしているだけでした。
同僚がいきなり私を指差し、彼に向かって「連絡先を交換してあげてくれませんか?」と彼は私の方をチラッと見て、あぁ社員証の、と話しかけてくれました。
連絡先も快く交換してくれ、私は思ってもみなかった展開に有頂天でした。
それ以降、たまに会社帰りに待ち合わせて食事へ行くようになりました。
彼は口数の少ない方でしたが、私はお喋りな男性は苦手なのでとても心地よく感じました。
その心地よさはいつまでも続きませんでした

ある日、いつものように食事へ行った後彼が夜景を見に連れて行ってくれ、その時に告白されたのです。
でもその告白とは、愛の告白ではなく既婚者であるという夢にも思わぬことでした。
彼は、既婚者であることをなかなか言えなかったと打ち明けました。
その理由として、私のことをどんどん知りたくなり好きになってしまったからだと。
目の前が真っ暗になった私は、同僚に涙ながらに打ち明けました。
同僚は驚いて、でも私に諦めるよう強い口調で訴えてきました。
当然のことです。
でも私はどうしても諦めきれませんでした。
もう好きになってしまっていたからです。
私は彼の言葉を思い出しました。
彼が妻とはうまくいっていないと言っていたこと、離婚話がでていること。
子供はいないということ。
これらは私に対して諦めないでくれと言っているように聞こえました。
勿論自分の良いように解釈しているのはわかっていました。
でもどうにかして諦めない理由を持っておきたかったのです。
私は彼に「離婚するまで待つ」と伝えましたが、結局彼とは一線を越える仲になってしまいました。
いつ離婚するのだろうかと毎日悩みながらも、怖くて彼に聞くことができません。
2年経った今でも不倫関係は続いています。
K・A 東京都